卒業生インタビュー

インタビュー記事

NHK報道局取材センター国際部 記者
山本 健人さん(2011年3月高校卒業)

プロフィール

甲府市立大国小学校から山梨学院中学校に入学。高校では山梨学院高校特進コースに進学。中学3年時に高円宮杯全日本中学校英語弁論大会で3位入賞。早稲田大学法学部に進学し、在学中にバックパッカーとして多くの途上国を訪れた経験から、世の中の様々な理不尽さに困窮する人たちの現状を伝えたいという思いを抱く。卒業後はNHKに記者職で入局。初任地の鹿児島での勤務を経て、現在は報道局国際部で人種格差や難民問題などをテーマに取材。

◆私の価値観を形成した中高~大学時代

 中学時代を振り返ると、特に明確な目標を持っていたわけではなく、唯一熱中していたバスケットボール部の活動に打ち込む毎日でした。将来について考えるきっかけとなったのは、中学3年の後半、「高円宮杯全日本中学校英語弁論大会」に出場したことです。全国から集まった志の高い生徒たちと語り合うなかで、自分にも英語を使って仕事をする道があるのではないかと考えるようになりました。目標ができたことで勉強に取り組む姿勢が変わり、高校に進学すると成績が伸びるようになりました。進路選択にあたっては、具体的にどのように英語を生かしたいのか、まだ具体的に決められずにいたため、幅広い知識を身につけたいと思い、あえて英語とは関係のない学部を志望しました。
 大学に入学してからは、アルバイトでお金を貯めては、途上国に足を運ぶようになりました。いわゆる「バックパッカー」ですが、私を突き動かしたのは高校時代に好きだった世界史の授業でした。先生の巧みな話術に、世界で起きていることに想像を膨らませるのが受験期の数少ない楽しみでした。自分の目で直接、世界の現状を見てみたい。その思いから東南アジアや中東、それに南米などの国々を訪れ、貧困街や難民キャンプにも寝泊まりしました。そこで見えたのは、貧しく、厳しい環境に置かれていても、笑顔でたくましく生きる人々暮らし。そして、その中から浮かびあがる国の課題や、問うべき姿でした。こうした現状を伝えるために、自分の英語を生かせるのではないかと思うようになりました。

▲2012年大学2年時、中東ヨルダンのパレスチナ難民キャンプにて

◆紛争や外交の最前線で取材をするのが夢

 自分の目で見たこと、知ったことを人に伝える仕事がしたいと思い、大学卒業後はNHKに記者として入局しました。最初の配属地は縁もゆかりもない鹿児島で、警察担当として県内のあらゆる事件や事故を追いかける日々でした。大きな事件が起きれば、休みであろうと現場に駆けつけなければならず、体力的に楽ではありませんでしたが、1つ1つの事件の背景にある社会の課題を伝えることに大きなやりがいを感じました。また、大雨や火山などの災害のほか、人口減少や米軍基地移転といったさまざまなテーマの取材を経験し、記者としての足腰を鍛えることができました。
 2020年の夏から、東京のNHK放送センターにある国際ニュースを担当する部署に配属されました。アメリカや南アジアなどの地域を中心に、人種格差や難民、それに紛争などをテーマに取材していて、学生時代に抱いた夢に少しずつ近づいていることを実感しています。いずれは特派員として海外支局に出て、紛争地や外交の最前線で取材し、現場で起きていることを伝えたいと思っています。
 将来、自分が何をしたいのかわからないという生徒も少なくないと思いますが、焦る必要はありません。いろいろな経験を経て、ゆっくり、じっくりと形作られていくものだからです。山梨学院中高には、自分の選択肢を広げる最高の環境が整っているので、学業はもちろんですが、さまざまなことにチャレンジしてみてください。ここには書き切れませんが、先生方には進路選択をするうえで最大限のサポートをしていただきました。この場を借りて、感謝申し上げたいと思います。

▲NHKニュースセンターにて

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