卒業生インタビュー

インタビュー記事

国土交通省
簗田 祐貴さん(2007年3月高校卒業)

プロフィール

 山梨市立加納岩小学校から山梨学院中学校へ入学し、高等学校では特別進学コースへ進学。中学・高校ともにサッカー部に所属。
 社会の動きや仕組みについて経済学の観点から学びたいと思い、東京大学文科二類(その後経済学部)に進学し、マクロ金融を専攻した。
 大学卒業後は、国土交通省へ入省し、公正取引委員会への出向を経て、現在はThe University of Chicago Harris school of public policy に在学中。

◆サッカーに熱中した中学時代

 私が山梨学院を卒業してから15年くらい経ちましたが、友人たちとの何気ない会話などを今でも思い出します。楽しい思い出ばかりで、出会いに恵まれ、充実した6年間だったと改めて思います。
 中学生の頃は勉強というよりもサッカーに夢中でした。当時は部活動以外に校外のチームにも所属していましたので、放課後や土日はほぼ毎日サッカーに費やす毎日で、勉強面について言えば、塾には通っておらず、テスト前に少しだけ、という生活でした。
 私が1年生の頃は部活動といっても多少遊びのような雰囲気で、特に練習らしいことはしていませんでした。しかし、私は本気でサッカーが上手くなりたかったですし、幸運にもサッカー部の同期も同じ思いだったこともあり、最上級生になった時は、自分たちで練習メニューを考えたり、仕組みを変えたりするなど、試行錯誤していました。今思えば、色々と未熟だったこともあり、全てが全て上手くいったわけでもないのですが、毎日サッカーのことばかり考えていて楽しかったですね。

▲中学校3年生で行ったオーストラリア語学研修

◆受験を通して学んだこと

 中学高校で学んだことや印象に残っていることはたくさんありますが、今の自分を形作っているものの一つは大学受験を通じての学びだと思います。
 私は高校卒業後東京大学に進学しましたが、当初は東大を目指すなんて大それたことを思いもしませんでした。模試の志望校判定では常にE判定でしたから。ですが、進路指導での先生の後押しや励ましもあり、東大を目指してみようと思うようになり、論述問題の添削等先生方にも支えてもらいながら自分なりに受験勉強に精一杯取り組みました。合格発表の日のことは今でも覚えていますが、東大の掲示板の前で、合格者たちが歓声を上げているすぐ隣で、不合格であることを知りました。彼らのうれしそうな顔を見るとすごく悔しく、情けない気持ちになり、その場で翌年再チャレンジすることを決めました。浪人生活は文字通り勉強漬けで、大変なこともありましたが、あの場で感じた悔しさがなければ、翌年1年間努力し続けられなかったと思いますし、そもそも浪人せずに他の大学に入学していたと思います。
 大学受験を通して、困難に直面しても高い目標に向かって試行錯誤しながら継続して努力し続けたことは私にとって大きな意味がありました。それまでは壁にぶつかってしまうと、それに向き合わず、すぐ挫けて諦めてしまい、本気で努力してきませんでした。しかし、この経験をしたことで、勉強に限らず、本当に実現したい目標に向かって、嫌なことや苦手なこと、大変なことにも向き合う姿勢を身につけることができました。そういう意味で、入試の結果そのものというよりも、そのプロセスから得たものが今の自分を形作っていると思います。

▲東京大学合格発表

◆将来の目標

 私の個人的な将来の目標は、確固たる信念や想いを持った人間になることです。
 私は大学卒業後、2013年に国土交通省に入省し、主に交通分野の制度改正や政策立案に携わってきました。公共分野である以上、当然、データや客観的な論拠に基づく公正な判断が求められ、そのような考えができるように努めてきましたが、社会の変化、テクノロジーの進化のスピード等がどんどん速まる中、業務の中で前例のない新たな課題に直面し続け、その解決に頭を悩ませてきました。また、価値観がこれまで以上に多様化している中では‘正解’を見つけることが難しく、そもそも唯一絶対な正解など無い世の中になってきているのではないかとも思いました。
 不確実で未知なる課題に対して、思考し、決断し、実行していくためには、データや前例に立脚するだけではなく、拠り所となる信念や想いを強固にすることもまた重要であると痛感するようになりました。
 そのような思いもあり、現在は国土交通省での仕事を離れ、アメリカのシカゴ大学の公共政策大学院に留学しています。公共政策学とは、文字通り公共政策に関する学問で、経済学や政治学、統計やデータ分析、更には哲学に至るまで、政策立案に必要な理論やスキル、そして考え方を学ぶ学問です。また、地元のNPOと協力して、地元の課題を解決するプロジェクト等も用意されており、大学院で学んだことを机上の知識に留めるのではなく、現実の世界で使える生きた知識として身につけることができます。
 大学や留学で学んだ理論や知識と、今までの業務で得た経験、そして異国で生活する中で触れた異なる価値観や考え方を組み合わせ、自分なりの確固たる考えを形成し、より良い社会を作るための決断ができるような人間になりたいと思います。

Copyright(c) YAMANASHI GAKUIN JUNIOR HIGH SCHOOL. All rights reserved.